スタンダードプラン

ヤマネホールディングス株式会社

インターン生にも積極的にAI面接を活用、動機付けを手厚く

ヤマネホールディングス様_

広島に根付くヤマネホールディングス株式会社の初代が木材の会社を創業したのは明治43(1910)年のこと。今年で創業113年を迎え、住宅を始め、リフォーム、家具、介護など暮らしに寄り添う事業を次々と展開している。県と森林保全に関する協定を締結し、社員やパートナー企業の家族らが参加して、定期的な森林保全のボランティアを行うなど、地元の森を大切に育てるCSR活動も意欲的だ。コロナ禍で学生への接触が難しくなったことから、新なアプローチでより多くの情報を得ることに繋がるのでは、と2021年から対話型AI面接サービスSHaiNを導入した採用試験を始め、22年からはインターン生にも積極的に利用している。その経緯を、専務取締役の岡田宏隆さんと経営管理部の吉岡綾子さんに伺った。

より客観的な判断のために、最先端の技術に期待

「採用に関しては、いろいろと試行錯誤をしてきました」と岡田さん。時には、自身が担当していた二次面接の前に部長クラスの面接を入れ、全員が〇を付けた学生だけでなく、あえて評価が○と×に分かれるような学生を採ってみるという試みをしたことも。だが、なかなかこれという方法は見つからなかったという。そんな中、2021年からSHaiNによるAI面接を二次面接として導入した。「AI面接って最先端というイメージがあるので、学生受けがいいのではという思いもあったし、より客観的な判断ができる材料が増えるなら、という期待もありました」。

「選考にAI面接を入れたことで、工数が一つ減り、採用担当者の負担も軽減しました」と、実際に学生との連絡なども含めた採用実務を担う吉岡さんは言う。これまで二次面接のために、学生との時間のアレンジなどの準備や面接当日の進行も含めて費やしていた時間は削減された。一方で、学生との接触の機会が少なくなるため、そこをどうカバーするかが新たな課題にもなった。そこでAI面接受検者にはフィードバック面談を取り入れ、学生との接点を増やした。

 

インターン生にAI面接受検を促し、フィードバックで接点を増やす

ヤマネホールディングスでは、学生に対し1日から数日、様々な職場体験ができるインターンシップの機会を設けている。22年からは、そこに参加するインターン生にも積極的に受検を呼び掛けた。「消極的な学生もいましたが、『あなたの強み、弱みを伝えるフィードバックもするので、自己分析に役立てられますよ』と声を掛けたんです。インターン生のうち、7割くらいが受けてくれました」と吉岡さん。

「インターンに来てから早期選考まで、長いと数カ月の時間が空きます。その間に、学生さんの考えが変わったり、ゴールが変わったりすることもあります」。その期間の途中に一度AI面接のフィードバックを入れることで、接点を持つ機会が作れるというわけだ。「『あなたは粘り強さや責任感などが高く評価されているから、それを前面に出して就活をしていくといいですね』とか『うちの会社ならこういう部署が向いているのでは』というような話をじっくり行い、結果的に動機付けに繋げていければと考えました」。

学生にとっても、自分の話した言葉が書き起こされたレポートを見ることは、自分を見直す良い機会になるに違いない。改めて、自分はこんな風に話しているのか、よくわからないことを言っているんだな、と驚いている学生もいたという。吉岡さんが力を入れてきた早期選考までかかわりが浅かった学生とのこまめな接触が奏功し、インターン生からの内定承諾率は中小企業としては平均以上の結果となっている。

 

AIと対人、それぞれの役割を上手に使い分ける

AI面接の面接評価レポートは、均質な情報として共有できる。
「役員4人が、事前に同じ情報量を持って面接に臨めるというのはAI面接ならではの部分ですね。普通の面接では聞き取れない内容をAIが聞き取り、それが点数化されているのも魅力です。数値化されているとわかりやすいし比較もし易い。AI面接の回答内容を、役員面接でさらに深掘りしたり、確認したりすることで面接の内容をより充実させることもできます」。

ただ、AI面接と対人面接では役割が違う、と岡田さんは言う。「AI面接は学生の情報をより詳しく得るために使います。一方で、インターン期間中は仕事をしてもらいながら、よく話をします。そうした会話や最終面接を通して、学生がこの会社でこの人と働きたい、という志望意欲を上げられるようにするのは、やはり人間の役割だと思います。それぞれの長所を上手く使い分けながら、今後もAI面接を使っていきたいですね」
地元広島で100年以上続いてきた企業として、人々の暮らしを支える人材となる社員を丁寧に採用しようという意気込みが伝わってきた。