産業用光源をはじめとした光応用製品ならびに産業機械で高いシェアを誇るウシオ電機株式会社。近年、デジタルシネマ事業、メディカル分野への積極的な進出でも注目を集めている。
対話型AI面接サービスSHaiNの導入から2年目を迎えた今の状況を、採用を担当したグローバル人事戦略部の澤田泰宏さんに伺った。
目次
「戦略採用メソッド」活用から満を持して対話型AI面接サービスSHaiNへ
ウシオ電機は2019年よりSHaiNを導入しているが、その2年前から「戦略採用メソッド」を導入し、人材確保に力を入れてきていた。
「戦略採用メソッド」とは、タレントアンドアセスメントが独自開発したSHaiNの根幹にもなっている科学的面接手法。求職者の履歴書等では読み取れない資質を引き出し、評価のぶれや評価基準のあいまいさを回避する面接方法だ。ウシオ電機では面接に携わる全員が1.5日の研修を受けて「戦略採用メソッド」を理解しており、自社が求める人材の見極めから内定につなげているため早期離職者も少ないが、そればかりではない。
「会社として上司・部下とのエンゲージメント向上には日頃から力を入れていますが、それは就職活動生や中途入社希望者に対しても同じです。戦略採用メソッドを用いて、相手の話を単に聞くだけでなく、より詳しい話を聴き出すコミュニケーションをとることで、求職者は採用時から『見てもらえている』『話を聞いてもらえている』と身近に感じてもらえるようです。この行為は自社の社風ともマッチしており、普段でも若手から上司に気軽に話しかけている様子を見かけます」と澤田さん。
このように“科学的な面接手法”への理解という素地が社内にあったことから、SHaiNへの反対や抵抗感はなく、導入はスムーズに行われた。
対話型AI面接サービスSHaiNと対人面接、それぞれの強みを十分に生かす
ウシオ電機の従来までの新卒採用フローでは、1次選考が適性検査とエントリーシート(ES)、2次がグループディスカッション、3次・最終が対人面接へと進む仕組みになっていた。SHaiNはこのグループディスカッションと置き換える形で導入された。
「SHaiNは非常に有用なサービスだと感じました。導入してみての大きな実感は採用担当の業務軽減ですね。特に、グループディスカッションに参加する候補者や、選考に携わる評価者のスケジュール調整や場所の確保など、選考に至るまでの準備に伴う実務がなくなったことは大きいですね」と語る。
澤田さんは、候補者がSHaiNを受検し面接内容がアップロードされると、すべての動画をチェックし、その後提供された面接評価レポートとも突き合わせていく。そこで差異があった場合は、採用担当者の中で話し合いながら動画を見直しているという。「なぜ差異が生まれたのか、見逃している部分があるのではないかなど、自分たちの評価とSHaiNとの整合性という部分をチェックしていきました。差異があったケースはほんの一握りでしたが、私たちがSHaiNの評価を理解するためにも有益でした」。
選考の準備に伴う雑多な業務が減り、その分の時間や労力を選考業務そのものに注ぐことができているようだ。
「弊社では対人面接時とSHaiN、同じメソッドを使っていることから、導入当初はSHaiNの評価を対人面接時に再確認するといった使い方をしてきましたが、現在は選考フェーズそのものの役割を定義していくことでより良い選考ができると判断しています。SHaiNは人の資質、基礎的な部分を見ることができます。次のフェーズで行う対人面接では、精度の高いSHaiNの資料を活用し、自社でより活躍できる人材を探すためにさらに踏み込んだ面接が可能になります」。
任意で設定できるフリー質問も活用している。特に技術職志望者には、学生時代に学んできた内容について質問し、難しいことを簡潔に・分かりやすく・どのような視点で説明するか、といった理系的思考力を見ているとのことだ。いわば「戦略採用メソッド」を知り尽くしているウシオ電機だからこそできるともいえるが『求職者の表面的でない本質を見極めて採用を行いたい』という姿勢が伺える。
一方で、SHaiN導入によって新たな課題も出てきている。「今回グループディスカッションをSHaiNに置き換えたことで、従来まで観察できていた対人関係の構築の仕方がSHaiNだけでは判断しづらいと感じました。この点は課題ですね」。
戦略採用メソッドやSHaiNの機能を徹底活用しているからこそ、更なる改善点を見出し新たな取り組みを模索している。
先を見通す力がコロナ禍への迅速な対応を実現。Webだからできること、考えが及んだことがある
採用活動に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症であるが、ウシオ電機の場合、これまで積み重ねてきた取り組みが “吉” と出ていることが多いという。
「今期は新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン中心の採用選考にしました。そこで、対人面接の前に通信テストを兼ねて15分から30分の人事面談を取り入れました。面接評価レポートをもとに候補者と軽い面談をすることで、候補者が抱える不安要因を払拭しながら、面談所感も次の選考の参考資料に加えていきました。」従来であれば1人ひとりとざっくばらんに話しができる機会を設けるのは難しかったようだが、工数削減できた時間やオンラインだからこそ実現した取り組みだろう。
また最終選考となる社長面接を取りやめ、権限移譲する形で対人面接は3次面接1回で完結することにした。「3次面接は事業部長クラスの面接になりますが、こちらもオンラインで実施しました。ウシオ電機の選考で特に特徴的なのが技術職の面接なのですが、これまでも1時間程度かけ、事業部長と技術的なディスカッションをしながら行っていました。ホワイトボードを使いながら白熱した議論になるのが通例なのですが、単純にオンライン化しただけではなかなか議論することが難しい。そこでタブレットを選考対象者全員に貸与し、リアルタイムでお互いが書き込みしながら議論するという方式にしました」。
初めての取り組みであり準備は大変だったようだが、候補者からも評価者からも好評だったようだ。「従来の採用方法が取れなくなったとしても、別の形で候補者が熱量を伝えることができる方法を用意すれば何の問題もありません。次のステップのためにしていた下準備がすべて新しい対応へとつながり、結果が出ていると実感します。形や環境が変わっても、大切なのは“候補者と向き合うこと”です」。
内定後は面接評価レポートをはじめ、これまでの選考資料を全て取りまとめ、1人ひとり個別サポートをしている。たとえばグローバル指向が強い学生には海外拠点のメンターをつけるなどして、入社の動機付けを続けている。今後は職種別採用も視野に入れているほか、外国人採用にも積極的に取り組み、現在現地に出向いて行っている面接をSHaiNに置き換えていく計画もあるようだ。
「来年も柔軟な発想で採用活動に取り組んでいく予定です。例えば、候補者が自らのスケジュールに合わせてインターンやセミナーを選択できたり、対人面接も引き続きオンラインで実施しようと考えています。SHaiNは今後もさらに活用していく予定ですが、フリー質問の細分化や動画化など、さらに充実したサービスを期待しています」。
ウシオ電機の採用活動は、常に試行錯誤しながら新しい取り組みを行い、変化を恐れず先を見据えて動き続けている。
2020年8月17日時点
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