企業が開催するセミナーやカンファレンス、周年イベント、採用イベントなどの企画、制作から運営、事務局などを手掛ける株式会社ニューズベース。2020年卒採用から対話型AI面接サービスSHaiNを導入した。新たな取り組みに積極的な同社だけに、経営陣の反応も前向きで、すぐに試験導入を決めたという。執行役員人事担当の佐藤春幸さんにお話を伺った。
マネージャーたちの負担減と、基準の平準化が導入の背景に
AIを面接のツールに導入したいと思った背景には、新卒採用の一次面接で感じていた問題があるという。
「春、夏に2日間ずつ行う説明会の際に一次面接も実施していたのですが、面接を担当するマネージャーたちの負担がとても大きかったんですね。彼らは面接官として限られた時間で多くの人を評価するということには慣れていません。1日中缶詰めになって学生たちと面接し、昼食を食べる暇もなく申し送り事項を作成する。さらに評価の基準を合わせるのも難しく、誰かひとりは通しで全ての面接に立ち会う必要もあります」。その間、マネージャーとしての仕事が全くできなくなってしまうことも現場としては痛手だった。
「これを解決するために、AI面接を使ってみようと思いました。面接官のスキルアップや基準作りをするより、ずっと早いですからね」。
採用に使えるAIをWEBで検索し、2社を選んで話を聞いたという。もう1社はコストの面で合わず、SHaiNに決定した。「すでに大手企業さんが使っているということも、信頼性という意味で魅力的でした。それにSHaiNはまだスタートしたばかりのツール。タレントアンドアセスメントの営業の方がとても情熱的でAI面接の世界観が伝わってきました。これが採用市場に広がっていくことにご一緒できるなら面白いな、と思ったんです」。
まずは佐藤さん自身がSHaiNを受検してみた。「思った以上に緊張するものなんだな、と感じました。一度、AIに『もっと詳しく』と突っ込みを受けたんですよ。それが後でみんなに話す時のネタになりました(笑)」。
体験により操作性も確認できたことから、役員会で「春の採用時に試験的に導入します」と宣言したところ、経営陣の反応は予想通り好感触だった。「新しいツール、新しい採用のあり方への好奇心が強い人たちばかりですからね」。
人間の一次面接はSHaiNに置き換えても問題ない、と確認
ただ、人間による一次面接の代わりとしてSHaiNを本格導入するためには、検証が必要だった。本当に人間の面接の代わりになり得るのか。そのために、2019年5月に開催した説明会では、これまでの一次面接、適性検査にプラスしてSHaiNも受検してもらい、人間が行う一次面接とどれだけ差がでるかを出してみたのだという。SHaiNの評価基準の一定以上を一次通過と設定し、人間が面接したときに一次通過と判断した学生のうちSHaiNだと何割が残るか、また人間が一次で不合格としたとき、SHaiNの評価ではどうか、という検証だ。「9割近くが合致しました。適性検査と絡めれば、人間による一次面接はしなくても問題ない、ということが確認できたんです」。
そこで夏の説明会では一次面接をなくしてSHaiNを本格的に導入し、さらに座談会を設けた。
「人間の一次面接をAI面接に置き換えると、どうしても学生が社員と接する時間が短くなり、『この会社に入りたい』と思う動機付けが弱くなってしまう。そこで、採点などは一切せずに徹底して現場の話を聞いてもらうため、学生に年齢の近い先輩社員を数人ごとのグループに2人ずつ配置した座談会を行いました」。臨場感のある現場社員の話を直接聞くことで、学生にとっては仕事の内容をイメージしやすくなる。
「動機付けとしても、一次面接より効果的だったのではないかと思います」と佐藤さん。自身が探し出した新しいツールでマネージャーの負担を減らすと同時に学生への動機づけも担保できたことに、人事担当として満足しているようだ。
新しいこと、面白いことに敏感な社風が後押し
SHaiNの導入は、他にどんな効果があったのだろう。「経営陣を中心に『面白いことを始めたな』と注目されています。現場でも機会があれば話しているので、社員たちも興味を持ってくれています。当社は『現状維持というより新しい取り組みをしていこう』という社風です。それは人事、採用でも同じですから」。採用には直接関係ない社員の間でもSHaiNが話題に上っているというのは、年間400件超というイベントを企画し、新しいトレンドに敏感な社風ならではだ。
2021年卒の採用活動が、間もなくスタートする。「一次面接に代わる選考フローとして、引き続きAI面接を使っていく方針です。中途採用についても導入を考えたいですね」。
2019年11月6日時点
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